複数の信号が混ざっても大丈夫な理由
このように搬送波を用いて変調・復調することにより、3章でのべたように同じ空間を使って複数の信号を流したとしても、それらがゴッチャになってしまうことを避けられるのです。
これは複数の搬送波を利用することが前提となります。
図にその様子を示します。
たとえばある人Aが3ビットの信号列「001」を送るとします。
それと同時に別の人Bが、やはり3ビットの信号列「010」を同じ空間内で送るとします。
もし両者が同じ黄色い搬送波を用いたとすると、それらは合わさって上向きのピンク色の矢印の先のような形波になります。
こうなると、「0」と「1」を数字の0と1と見立てたとして、和が「011」であることはわかったとしても、それがA「000」+B「011」なのか、A「011」+B「000」なのか、A「010」+B「001」なのか、それとも正解であるA「001」+B「010」なのか、もはや知るすべはありません。
これでは変調せずそのまま送り、ごっちゃになってしまう3章の状況と同じですね。
しかしBが赤い搬送波を使った場合は、話が違います。
黄色い搬送波は1秒間に3周する、すなわち周波数3Hzの波ですが、赤い搬送波は周波数が2Hzです。
Hzは「ヘルツ」と読みます。
それぞれの搬送波を使ってそれぞれの信号を変調し、それを足し合わせると、紫色の矢印の先のような波形になります。
すなわち最初の1秒は何の波もない状態、次の1秒は周波数2Hzの波がある状態、そしてその次の1秒は周波数3Hzの波がある状態ということです。
Aが周波数3Hzの搬送波を使い、Bが周波数2Hzの搬送波を使うことはわかっていますから、これによりAが出した信号列は「001」、Bが出した信号列は「010」とわかるわけです。
なお、AもBも「1」を出した時は、黄色い搬送波と赤い搬送波とが足された波形になります。
やや不規則な波形になるので図には示しませんでしたが、その波形が周波数3Hzの正弦波と周波数2Hzの正弦波との和であることも、簡単にわかることが知られています。

