搬送波と変調・復調
前章で述べたような情報の混乱を避けるために、無線通信にはある仕掛けがあります。
実は「乗り物」という言葉がまさにそれを反映したものなのですが、送りたい信号よりはるかに高周波な正弦波(三角関数のサインやコサインのような波形)を用意し、その上に送りたい信号を載せる、というものです。
この乗り物というべき高周波な正弦波を、搬送波(carrier wave)といいます。
たとえば単純に電位を出力する代わりに、+5というのはある搬送波を振幅5V(上下差10V)で出すこととし、また接地というのは振幅0Vで出す、すなわち搬送波を出さないことだと考えてみましょう。
1ビットの信号に相当する出力時間は、これまでと同じく1秒間です。
これまでは10ビット長で考えましたが、説明の都合上それでは長すぎるので、3ビット長の信号列で考えましょう。
3ビット長の信号列というのは、000、001、010、011、100、101、110、111という8パターンがあります。
この時、それぞれの信号列は、搬送波を用いて図のように表現されることになります。
このように元の信号(たとえば010)から、それを搬送波に反映させた波形を作り出すことを、「変調する」といいます。
英語でいうとmodulateです。
身近な単語でいうと、ラジオのAM放送やFM放送のMは、この単語の名詞形であるmodulationを意味しています。
逆に搬送波の波形から、その搬送波に関係ない本来の信号(たとえば010)を取り出すことを、「復調する」といいます。
英語でいうとdemodulateです。
要は1秒ごとに区切って、そこに搬送波が存在するかどうかを見極め、存在すれば「1」、しなければ「0」を割り当てるわけです。
ただし、送信時に5Vの振幅を与えても、それは空間を伝播するにつれて、弱まっていきます。
だから5Vの振幅の搬送波が存在するかどうかという問題ではなく、いわばその残滓があるかどうかの見極めということになります。

