無線通信の多重化~基本はやはり3方式

次に5章で述べたことをもう少し一般化して、同一の空間を流れる電磁波を使って、いかにして多重の信号を送れるかについて述べましょう。

5章では周波数が異なる複数の搬送波を使うことで、信号が分離できることを示しました。

その理論的根拠が11章で述べたフーリエ変換です。

こうして複数の信号を多重化することは、実際にラジオやテレビでもごく当たり前のように行われていますし、アナログの携帯電話でもこの手法が使われていました。

この多重化方式をFDMA(Frequency Division Multiple Access、周波数分割多元接続)といいます。

多元接続でなく多重接続と呼ぶ場合もあります。

一方、デジタル信号を多重化して送る一番基本的な方式は、同じ周波数帯であってもそれを時間的に細かく区切って複数の信号に割り当てる方式です。

これをTDMA(Time Division Multiple Access、時間分割多元接続)といいます。

初期のデジタル携帯電話やPHSで、この方式が用いられています。

これも理屈からいえばわかりやすい技術ですが、時間軸を正確に共有する(同期を取る)ことが可能でなければなりません。

デジタル信号を多重化して送るためにはもう1つ方式があります。

こんにちの携帯電話で使われているCDMA(Code Division Multiple Access、符号分割多元接続)です。

これは周波数でも時間でも分けません。

その代わりに誰が発信者かを示すコードを通信内容に付加し、常にそれを見ることで、きちんと仕分けができるようにするわけです。

もう少し具体的にいうと、プラス1とマイナス1とからなる相互に独立な擬似的な乱数列を複数用意し、各信号をそのいずれかの列と掛け合わせたものを、足し込んで送るのです。

これにより送られる波の周波数帯域がかなり広がるので、スペクトラム拡散あるいは拡散変調とも呼ばれます。

受信側で同じ列を用いれば復元することができます。

きわめて高い干渉耐性や秘匿性を得られる方法です。

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